ゴールデンウィークに、ホテルリステル猪苗代というところで、東日本大震災を被災された双葉町の町民の皆さんの前でコンサートをさせていただきました。

▼ホテルリステル猪苗代
http://www.listel-inawashiro.jp/


3.11の大震災を経て、すでに多くのアーティストが被災地支援の歌を贈ったりしていました。

「何か出来ることをせずにはいられなくて…」

「少しでも被災者の皆さんの心の癒しになれば…」

というメッセージが多く寄せられているのを私も見聞きする中で、

「自分はいったい何が出来るだろう?」

「自分は何をすべきだろう?」

という想いにかられていました。

そんな中、同ホテルの社長さんからの声かけにより、

【被災者の想いを、歌で代弁するコンサート】

という自分ならではの支援の形が見え、それが実現したのがゴールデンウィークだったんです。

双葉町民の方お一人お一人のお話を聴いて、それを即興で曲にしていく。

即興コンサートは今までたくさんやってきましたが、今回のそれは、まったく未知の世界だと思いました。

「本当に胸のうちを語ってもらえるだろうか?」
「代弁とはいえ、当事者ではない自分が歌うことを 現地の方はどんな風に受け止めるんだろう?」

考えれば考えるほど不安感も強く、その想いは当日コンサートが始まるまで消えませんでした。

結果的には、2日間で10名近くの方の想いをヒヤリングし、ソングレターを作らせていただくことができたのですが、その中で、「共演者」となった現地の方からとても大きなことを学ばせていただきました。

それは、

【言える=癒える】

ということ。

多くのアーティストがそうであったように、私も今回のコンサートで少しでも現地の方の心を癒すことができれば…と思っていました。

でも、具体的にどうすることが「癒し」なのか、というのは人によって解釈が異なることだと思います。

現地の方に触れて、私が感じた「癒し」は、そんなに難しいことではないということでした。

「心の中にあるものを、誰かに言えた時、 そのことが一つの大きな癒しになっている」

何かを人に言うということは、その物事、感情と向き合って、それについて自分なりの意味づけをする行為だと思います。

ということは、そのことを人に言えた時点で、その方はとても大きなステップを踏み出していると思うんですね。

もちろん、人によっては、その「言う」ということが、何よりも難しいことである場合もあります。

でも、そんな時こそ、それを「言いやすくする」ことが「癒す」ことにつながるのではないかと思うんです。

(奇しくも「“言”い“や”すく“す”る」の頭文字を並べると「癒す(いやす)」になるのが興味深いです)

実際に、この時は、志賀まゆみさんという会社員の方に2時間以上にわたってヒヤリングをして、以下のような曲を作らせていただきました。

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あの日を境に いろんなこと変わっていった
大好きな音楽さえも 聴く気になれずに
目標もなくて したいことも 思いつかず
まるで宙に浮いてるよう 根無し草の生活

これから どうすればいいのか
どうなっていくのか わからないけど
それでも 家族がいてくれる
そのことが何より 心を 支えてくれるから

必ず皆で帰ろう 一緒に双葉に帰ろう
どこにいても そばにいるよ ちゃんと一緒だから
いつまで続くかわからない 先の見えない毎日でも
「戻れるなら 戻りたい」
皆その気持ちは 一緒だから

(『一緒に帰ろう』より)

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「大好きな音楽さえも、聴く気になれなくて…」
「目標もなく、何もしようと思えないんですよね」

そんな想いを一つ一つ私に語っていく中で、ひとつずつ気持ちが整理されていき、徐々に

「でも、必ず皆で帰りたいと思うんです」
「家族が何よりの心の支えだと気づきました」

という風に、ご本人の中から前向きな心が自然とよみがえって行かれるのをひしひしと感じました。

コンサート後、志賀さんからは何度もお手紙をいただきました。

「何をするにも億劫だったのが、部屋の模様替えを するようになりました」
「コンサート参加者の中で飲み会が増えたり、 あのときのCDを持ち寄って鑑賞会をしたり しているんですよ」

そして何より、2回目の猪苗代コンサートで再会した時には、本当に明るい「本来の笑顔」を私に見せてくれました。

何もできなくても、ただ想いを聴くだけでも、人のお役に立てることがある、と感じた瞬間でした。

「想いを言えることは、心が癒えることにつながる」

まずは想いを聴くことがすべての第一歩と受け止めてこれからもソングレターアーティストの道を歩み続けていきます。

感謝を込めて…。