|
2007年に、笑顔クラブという集まりのテーマソングを作曲させていただく機会がありました。 ▼笑顔クラブ なので、当然ながらテーマソングも「笑顔」をキーワードとして作ってほしい、という風に依頼されました。 作詞をする人間の立場から言うと、 「皆で笑顔になろう!」「Let’s smiling!」 など、笑顔というのは歌詞の中に良く登場する言葉なので、作りやすそうだな、というのが第一印象でした。 ところが、ヒヤリングの中で、実際に会員の方から「笑顔」という言葉についてのイメージを聞いていく中で、なんだか、単純に 「笑顔になろう!」 という言葉で表現することに違和感を感じるようになっていったんです。 というのも、その方が話してくださったのは、 「一言に笑顔といっても、無理して作るような笑顔ではなく、赤ちゃんの頃の純粋な笑顔になることを大事にしているんです」 ということでした。 「なるほど~」と思いながら、改めて考えてみると、 「笑顔になろう!」 という言葉は、ややもすると相手に「あなたは今、笑顔じゃないですよ」と指摘する言葉でもあり、「無理強いする」ニュアンスを含んでいると思ったんです。 そのお話を聞きながら、ふと頭に浮かんだのは、 【笑顔に戻っていいよ】 という一風変わったフレーズでした。 「あなたはもともと素晴らしい笑顔の持ち主。今はいろいろあって一時的にそれをお休みしてしまっているかもしれないけど、ここに来たら思う存分、本来のあなたに戻って笑顔になっていいですよ」 そこに含まれているのは、本来その人が持っている笑顔を「信頼」「承認」するというメッセージでした。 そんなニュアンスを歌詞の中に盛り込めたらと思って、最終的に以下のような歌詞が生まれました。 ===================== 人との関わり合いや 慌しい日々の中で 見るものすべて楽しくて することすべて感動で 大丈夫 笑顔に戻っていいよ (『笑顔と共にある』より) ===================== 私も音楽を通して「笑顔」を届ける仕事をしていると思っています。 「笑顔を与える」のではなく、「笑顔を取り戻せる場を創る」。 このスタンスで、これからもソングレターアーティストの道を歩み続けていきたいと思います。 感謝を込めて…。 |