今日は、日経BP社のDVD『夢力(ゆめぢから)』の主題歌『声を嗄らして』を作った時にあったことをお話してみたいと思います。

今振り返ってみると、【想いを代弁すること】の何たるかを一番学ばせてもらったのは、この時だったかとしません。

それくらい、今も強く心に残っているエピソードです。

 
まず、このDVDについてご存知でない方のために簡単にご紹介しますね。

これは、日本一の朝礼で有名な「居酒屋てっぺん」をドキュメントしたDVDです。

てっぺんという居酒屋さんに、行かれたことはありますか?

行けばわかりますが、ちょっと変わった居酒屋さんです。


というのも、

「居酒屋から日本を元気にする」

というキャッチフレーズ通り、行くと元気になってしまう、そんな居酒屋さんなんですね。

正直なところ、一般的な居酒屋のイメージって、会社の愚痴を言ったり、上司の悪口を言ったり、というような感じじゃないですか?

でも、ここの居酒屋は違うんです。

行くと、夢を語りたくなる。

行くと、前向きな言葉を口にしたくなる。

なぜかと言うと、お店で働いている従業員の皆が夢を持ってキラキラと輝いているからに他なりません。

そんなステキな居酒屋さんなんです。


最初に足を運んだ時、

それはそれは・・・衝撃的でした。

で、ものすごく感動した僕は、インスピレーションで曲がパッと浮かび、自信いっぱい、DVDのプロデューサーさんのところに持っていったんですね。

そうしたら、こんな風に言われたんです。


「安達君、雰囲気としては悪くないよ。 でもね、これじゃ、てっぺんを第三者的に、外から見て書いている曲に聴こえる。」


えーーーーーーっ!?


でも、僕は、てっぺんの一員じゃないんだから、そんなの仕方ないでしょ。

「アーティストとしての立場で、てっぺんのことを表現する」

これで何が悪いんだ、と正直思いました。


でも、「外側から見て、『こんな感じ』とまとめているだけの曲にしか聴こえない」と言われたら、そんな作品を世に出すわけにはいかない。

それからと言うもの・・・悩みました。

「人の想いを代わりに代弁するってどういうことなんだろう?」

初めて、本気になって考え始めたんです。


結局僕が出した結論は、とにかく「てっぺんに足を運ぶ」ということでした。

行かなきゃわからない。

だから自分が、毎週でも足を運んで

「どんな気持ちで仕事をしてるのか?」「どんな表情でお客さんと接してるのか?」

それを感じに行こうと思ったんですね。


そうして、毎週のように“お忍び”で通いました。

毎週通う中で、

『この人たちは、きっとこういう気持ちなのかな。。』

と、徐々にわかっていきました。 


でも実は、それでもまだ、不十分だったんです。


締め切りが迫る中、僕は、とうとう行き詰ってしまって、ある日、夜道を散歩しながら考えていました。

『本当に僕にこんな曲作れるんだろうか?』

心はズーンと、沈んでいました。

いろいろなことが頭に浮かんできました。


「今回この曲を僕が歌えたら、自分の夢に大きく前進することができる。

だから、自分にとっても大きなチャンス。

 (・・・でも、自分には無理かも知れない)」


心はフラフラ揺れていました。

そして、地面と足元ばかり見て、ぼんやりと歩いていたんですね。


でも、その瞬間、ふと気付いたことがありました。


てっぺんの人たちは、皆将来独立するという目標を立てて、その独立道場としてそこで働いている。

だから、皆ひとりひとりが夢を持っている。

よく考えてみると、今この主題歌を歌うことは、僕にとっての夢の一つのステップ。

僕自身も、そこに向けて希望に燃える心と不安とが両方ある。


そこまで考えたとき、ふと、

「その気持ちを、そのまま歌にすればいいんじゃないか!?」

と思ったんです。


てっぺんの人たちの心を推し量って曲を作るのではなく、

「自分の心にある、てっぺんの人たちと共通する気持ち」

を曲にすれば、それこそがその人の想いを僕の歌として歌えるソングレターになるのだと気づいたんです。

 

そうして、

【地面だけ眺めて歩いていた 足元ばかり気にしていた】

というフレーズが生まれ、そこから一気に『声を嗄らして』が出来たんです。


プロデューサーさんからは、

「イメージとしてはウルフルズや、ブルーハーツみたいな感じ」

と言われたですが、最終的に僕が作った曲は、ものすごーく僕らしい、ピアノの曲でした。


「これで駄目だったらあきらめよう」

と思いながら、おそるおそる聴かせたところ、

「・・・安達君、これだよ!!」

の会心の返事が返ってきました。


後でビックリしたのは、今回そのDVDの映像を見ないで作ったにもかかわらず、僕が歌詞に書いたことが、まさに映像の中で店員さんがしゃべっている言葉と同じだったことでした。

これこそがソングレターだと、僕自身が教えられました。

出会いが教えてくれる音楽の形、ソングレター。

これからも、目の前の人と自分に共通する想いを大切に、ソングレターアーティストの道を進んでいきます。

感謝を込めて…。