以下のエピソードは、感動プロデューサー平野秀典さんの『感動力』(サンマーク文庫)に紹介されたものです。

 感動力 (サンマーク文庫)/平野 秀典

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    ◇       ◇       ◇       ◇

 平成16年の秋、あるアーティストのファーストライブに参加した女性が、帰宅後にその感動を中学の先生をしている友人に語った。

そのアーティストのホームページ上で曲を聴き、日記コラムを読んだその先生は、

「生徒たちが命の大切さを考えるきっかけにしたい」と思い、

実際に授業の中で曲やコラムを使った。

授業はパソコン教室で行なわれ、生徒たちは思い思いのページを開き、曲を聴いた。

 生徒たちの反響は大きく、その授業中に泣かずにいられなかったのは、女子生徒だけではなかったそうだ。

 たった一度の授業で生徒たちが変わった。

 生徒のひとりがある曲を希望した。

 そしてその曲を授業を受けたクラスの生徒だけでなく、卒業生全員で合唱することになった。

その曲とは、ソングレターアーティスト「安達充」さんの、『それぞれの明日へ』だった。

授業の中で歌に触れて感動し、卒業生の合唱の指揮をとった男子生徒から安達さんへお便りが届いた。

「僕は、今年高校生になります。新しい環境で友達ができるかとかで頭の中は不安でいっぱいですが、前を向いてしっかり歩んでいきたいです。中学校では苦しいことや悲しいこともあり、僕はメチャクチャな生活をしていました。

秋に安達さんの歌を聴いていなかったら、きっと高校生にはなれなかったと思います。卒業式に『それぞれの明日へ』を歌おうと思ったのは、僕の安達さんへの感謝の気持ちです。

安達さん、ありがとうございました。」

 『それぞれの明日へ』という曲は、安達さんが社会人となって怒涛の日々を送っていた最中に作った曲だ。

「社会に出たら、これもやって、あれもやって…」

 と描いた計画はどこへやら、ただ流されるだけの生活に、ひとり悶々としていた。

 そんな時に、一つの“衝撃的な朗報”が飛び込んできた。

それは、大学時代の後輩が「心理学の大学院に合格した」という朗報だった。

大学で経済学を学んだ後輩は、全くの畑違いであるにもかかわらず、

「どうしてもカウンセラーの道で活躍したい!」と進路変更。

 両親も説き伏せ、ゼロからの一歩を果敢に踏み出した。

就職活動もせず、この道一つと突き進む後輩を見て、安達さんは、「大丈夫だろうか…」と先輩として心配の目で見守っていた。

 ところが、1年以上に亘る受験勉強の末、彼は見事道を切り開いた。

それは、「晴天の霹靂」のような衝撃を安達さんに与えた。

 「どんなに困難な道であっても、夢を持ち続け、最後まで諦めなければ必ず結果はついてくる」

 忘れかけていた熱い想いが、再び込み上げてくるのを感じた。

 「夢をもつようにしよう」と偉そうに語りながら、自分は何か一つでも、そのための実行をやっていたか?

 口先だけカッコつけて、「どうせ無理…」とあきらめてはいなかったか?

 本当は、自分も彼のように夢を実現する人生にしたいと思っていたじゃないか。

 そんな気持ちから、誕生したのがこの曲だった。

『途方の無い夢だってドラマになると、今度はこの僕が示してみせるよ』

ドラマが歌を作り、歌がドラマを作る…。

 歌の力をこれほどまで自分に教えてくれた曲は他にないと安達さんは言う。

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「秋に安達さんの歌を聞いていなかったら、きっと高校生にはなれなかったと思います。」

 こういう声が、いちばんの励みになります。

出会いが教えてくれる音楽の形、ソングレター。

これからも、歌が起こすドラマを信じながら、ソングレターアーティストの道を進んでいきます。

感謝を込めて…。