今回は、2004年から2006年にかけて、計5回のライブを
開催していた時に学んだことをお話したいと思います。

ライブという経験は、本当にアーティストにいろいろな
ことを教えてくれます。

その意味で言うと、ライブはアーティストとお客さん
との共同作品。

お客さんのおかげで、ライブがグッと良いものになる
ことも決して珍しくありません。

僕にとってもそんな経験がたくさんありますが、
今回はそれを、2回に分けてお話したいと思います。


僕は、活動をはじめた頃、3年間で5回のライブを経験
させてもらいました。

1stライブ:2004年9月23日、渋谷
2ndライブ:2004年11月23日、代官山
3rdライブ:2005年2月11日、恵比寿
4thライブ;2005年7月18日、青山
5thライブ:2006年3月21日、目黒


いずれのライブも、非常に盛況で、お客さんにも喜んで
もらえる空間を作れたと思っていますが、自分の中では

1,3,5回目のライブ⇒会心の出来のライブ
2,4回目のライブ⇒学びが多かったライブ


という印象が残っています。

奇数回と偶数回で、不思議な現象のように思われるかも
知れませんが、実はこれには深い理由があるんですね。


まず、第1回目のライブ。

この時は、本当に何もかもが初めての経験だったので、
とにかく“無我夢中”でした。

当時から、僕のライブは【MC半分、歌半分】という
独自のスタイルだったので、本当ならばMCで何を話すか
など、事前にしっかり準備して臨む必要がありました。

でも、正直なところ、ほとんど間に合わなかったんです。

そして、あれよあれよという間に当日を迎え、
結局MC原稿を1文字も書けないまま本番に突入しました。


「・・・ええぃ!ままよ。なるようになれ!」


ところが、土壇場に追い詰められると、
人間は潜在能力が最大限に引き出されるのか、
フタを開けてみると、最高の出来栄えだったのです。


後でライブビデオを見返してみても、

『どうしてこんなに滑らかに話せているんだろう?』

と首を傾げたくなるほどの完成度に、我ながら
ビックリしたくらいです。


そして、こんな風に思いました。


『準備ナシでこれくらい出来ると
 いうことは、しっかり準備したら、
 凄いライブが出来るに違いない!』



そう思って、2回目のライブはとっても計画的に準備を
進めたんですね。

MC原稿もすべて書き終え、リハーサルも何度も重ねて、
万全の体勢で当日を迎えました。


ところが、、、


ライブ前半で、ものすごい違和感を感じたんです。


『あれ?何か違うぞ。。。』


会場とつながっている感じがしない…。

一人で話して、一人で歌っている気がする…。

何一つ伝わってないんじゃないだろうか…。


でも、なんとかしようと力めば力むほど、空回り。

お客さんの前では平然としながらも、
内心ではガックリと肩を落として控え室に戻りました。


『後半、どうしよう・・・』


ステージに立つのが、怖い。

そろそろ休憩が終わる。

大失敗したら、どうしよう。


背筋に冷たいものを感じると同時に、
心臓がバクバクと音を立てて震えました。

時計の針のカチカチという音が気になって
仕方がありませんでした。


そんな時でした。


「安達さん、今日来ているお客さんの○○さんから、
 これを渡してくれって…」


スタッフの1人が、1枚の手紙を持って控え室へと
入ってきたのです。


『・・・えっ??ライブ中に、何だろう?』


中を開けてみると、次のようなメッセージが
書かれていました。


『ちゃんと伝わってるから、大丈夫ですよ。
 肩の力を抜いて、いつもの安達さんらしく。」



その瞬間、何か自分の中で張り詰めていたものが
一気にゆるんだ気がしました。


そうか。

やっぱり今日の自分は、自分らしくなかったんだ。

お客さんは全部、気づいてる。

ただ一人、僕だけが自分に出来る以上の何かをしようと
懸命に一人相撲をとっていたんだ。

お客さんが観たいのは、上手くやろうとする僕じゃなくて
僕らしいステージだったんだ——。


僕は、後半のMC原稿をその場で捨てて、
再びステージに立ちました。

用意していたものではなく、
その場で生まれるものに従おう。

その覚悟ひとつを持って、
笑顔でお客さんの前に出て行きました。


そうしたら、、、


みるみるうちに1stライブの時と同じような温かい空気が
生まれたのです。

『これだ!やっぱりこれでよかったんだ』

アドリブもことごとく良い方に働き、
気がつけばたくさんの拍手に包まれながら
2ndライブは感動のフィナーレで幕を閉じました。


この経験を通して学んだことは、

【事前に用意したものより、
 その場で生まれるものの方が、
 人の心に響く】


ということでした。


ものすごく大事な学びを得て、ここから僕のライブは
右肩上がりに発展して・・・と書きたいところですが、

実は、僕がそのことを本当に理解するには、
もう少し修行(?)が必要だったのです。。

そんなわけで、今回はここまでで、次回この続編の
お話をしたいと思います。


それにしても、この大事なことを
「それじゃ伝わりませんよ!」という言い方ではなく
「ちゃんと伝わってるから、大丈夫ですよ」という表現で
教えてくれたお客さんには、本当に感謝です。

これからも、お客さんの言葉を自分の糧にしながら
ソングレターアーティストの道を進んでいきます。

感謝を込めて…。